2015.06.22
坂井
空き家の税金が6倍に!?「空き家対策特別措置法」について
日本中のあらゆる地域に、人が住んでいない空き家があります。
皆さんのなかにも、誰も住まなくなった実家の名義人になっていたり、これから父母、祖父母の所有している家屋の相続を考える必要のある方も少なくないことでしょう。
今後もどんどん増加していくものと思われるこれらの空き家については、老朽化が進み倒壊の危険を含んだ廃屋も多く、管理上の問題、景観上の問題等、多くの問題を抱える社会現象となっています。
このような空き家の問題が国会で審議され、平成26年11月19日、空き家等対策に関する特別措置法(以下「空き家対策法」といいます)が成立し、同月27日に交付。
そして、ついに平成27年5月26日に同法が全面施行されました。この「空き家対策法」を簡単に説明すると、
『空き家等の定義』
建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む)をいいます。『特定空き家』
これらの空き家は、水道・ガス等のライフラインの契約状況を含め、行政による立ち入り調査等の様々な情報を鑑みて、特に
ア.著しく保安上危険となるおそれのある状態
イ.衛生上有害となるおそれのある状態
ウ.著しく景観を損なっている状態
エ.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態にあると認められる空き家等については、『特定空き家等』と定義されます。この『特定空き家』と判定されると、各市町村は所有者に対して、『特定空き家等』の撤去や修繕の指導や勧告、命令をすることができるようになり、さらに所有者が命令に応じない場合は、行政代執行による強制的な解体・撤去も可能になります。
また、これらの命令に違反すれば50万円以下の過料、立ち入り調査を拒んだり妨げたりした場合は20万円以下の過料を科すこともできます。さらに税制も改正され、今までは空き家であっても建物が建っていれば、「住宅用地の特例」という税の軽減措置によって、住宅用地に対する固定資産税が最大で6分の1、都市計画税は最大で3分の1まで減額されていました。(※建物敷地の広さにより異なります)
これは平成26年度までは全ての住宅敷地に適用されており、このことが空き家放置の原因の一つとなっているため、今後は『特定空き家』と市町村にみなされ勧告が行われた場合については、この軽減対象から外すことが出来るようになります。
これは、不動産業界においてはかなりの大きな変化であると思います。
冒頭に述べたように、たちまちは使う予定の無い不動産を持っていても、「家が建ってるから税金も大して掛からないし・・。」程度の気持ちで放置されている方も多いと思います。
しかし、税金が6倍になればどうでしょうか?空き家の修繕等の維持管理費は?解体撤去費用はいくらかかるでしょうか?
はたして、この先も今までのように何も考えずに所有し続けていけるのでしょうか?このような不動産をどうするかは、多くの方が真剣に考えなければならなくなります。
その結果、不動産市場にも処分のために売却を急ぐ不動産が増加していくのではないでしょうか。実際に、将来も帰る予定の無い田舎にあった祖父母の家を売りにだしていても、土地は安いのに、老朽化した大きな建物の解体費用は高額になるため、不動産に値段がつけられないようなケースもあります。
一部の人気エリアを除いて、不動産が値上がりして行く不動産神話の時代は、はるか昔のこととなりました。使う予定の無い不動産は、最悪の場合は値段も下がり続け、所有コストが増加していくだけの負の財産になりかねません。
この『空き家対策特別措置法』の施行によって、不動産価値の二極化に拍車がかかる恐れもあります。
そのようなことになる前に、この問題に真剣に取り組んで、不動産のプロにご相談なさってはいかがでしょうか。
山陽地所株式会社
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- 坂井